概要:
okayama.open-seminar.org
オープンセミナー2017@岡山
オープンセミナーとは
オープンセミナーはソフトウェア技術をテーマにした無料セミナーです。このセミナーの企画・運営は、技術系ユーザコミュニティのボランティアで行われています。
昨年は香川県高松市、徳島県徳島市、愛媛県松山市、岡山県総社市、広島県広島市で開催された実績があります。コミュニティ主催のセミナーに参加が初めての方もお気軽にお越し下さい。
とのこと。
そういえば中国地方と四国地方でしか見かけたことがない気がしますね。
当日のTwitterの様子をまとめたものが上がっています。
オープンセミナー2017@岡山 まとめ #oso2017
参加の経緯
元々は参加したいなと考えてたんですが試用期間で大阪の会社を辞めたので
正直4月中に転職先が見つからなかったら参加しないでおこうと考えてました。
そんな折にすますん氏から↓のような問いかけがきたことがきっかけになります。
なので素直にそのままの内容を返したところ↓の返答が…
はて参加者?そういえば見ていなかったなと思い確認してみると「Web業界で有名なt-wadaさんとnaoya_itoさんが登壇される…だと…?!」という衝撃の事実!
で、気づいたらさくっと参加ボタンを押してました。
京都でもなかなかお二人の講演は聞く機会が少ないのでこれはチャンスだ!!って思いましたね。
結果どうだったか?
最高だった。
いや、誇張とか知り合い補正とか抜きにしても非常にレベルの高い内容の濃いものだったと思います。
これは本当にお世辞抜きでそう考えてます。
講演者同士で「テーマの選定が良い」という話しがあったと某はてなのそーだい氏から聞きましたが、これはまさしくその通りだったと思います。
テーマである「レガシー」が非常に共感を呼びやすく、また体感的にもわかりやすかったことが会場全体の空気感を作り上げる要因になったかなと思います。
講演内容
講演内容に関しては資料をみたりしたほうがいいと思うのでとりあえず所感のみを述べておこうと思う。
レガシーコードの触り方
和田 卓人(タワーズ・クエスト株式会社)
引用元:
Ansibleのテストで使いたい8つのServerspec | Developers.IO
ちなみにこのライオンはスタンドでスタンド名が「ワイルド・サバンナ」というらしい、名前がついてたのか…。
テストコードに関する内容をあっさりと説明…かと思いきやめっちゃいい内容でした。
ぼく個人はこの講演が聞けただけで十分以上に京都から岡山まで来た分の元が取れたな!!と本気で思いました。
ちょうどいま働いている会社のテストコードの指標をどうするか(どこまでテストコードを書くべきか、どこまで書かれているのが会社としてのベターな解答か?など)を話し合ったり考える機会があったのでその意味でも非常に学びがあったといえます。
講演の中で紹介された2つの書籍はこちら↓
実はレガシーコード改善ガイドは持っているのですが積ん読になってしまっているのでこれを気に会社に輪読会を広めてみようかなと考えてます。
それはともかく…
- レガシーソフトウェア改善ガイドは抽象度が高くリファクタリングやリアーキテクチャ、ビッグリライトに関する内容
- レガシーコード改善ガイドは実際のピヨピヨしてるレガシーなコードに対する泥臭い対処に関する内容
というそれぞれの特徴があるようです。
つまりどっちかではなく2冊買え!ってことですね、わかります。
それよりもなによりもid:t-wadaさんのライブコーディングが非常に良くてこのピヨピヨしているコードをどうやってリファクタリングするのか?と自分で考えていたコードではどうしても問題があってそれはもう仕方のないことだろうと考えていたのですが
いとも簡単にボク自身が問題だと思っていた箇所を解決してしまいました、実にスマートで感心しました。会場内からも似たような静かなざわめきがあったのでボク以外にも同じように感じた方がいたのだろうと思います。
角 俊和(NHNテコラス株式会社)
年間1万km走るロードバイクガチ勢のお話し。
お話し自体にガチ勢的要素は皆無だった。
自社プロダクト開発における闇にどう立ち向かったか?またその方法に関して詳細な方法。
一番質疑応答が多かった講演、恐らく参加者の多くが多かれ少なかれ似たような事態に遭遇したことがあり共感度が高かったためだと思う。
資料が非常によくまとまっていたので資料が公開されたらURLを会社のSlackに投げておこうと思う。
50年間の流通業の変化と、未来づくりのためのイノベーション
中山 博光(株式会社リゾーム)
流通業がどう変化していったか、今後どう変わらないといけないのか。
「チャンスは心構えのあるものにやって来る」というのは言葉は違いますが「手を動かしたやつが一番エラい」というのと多少のニュアンスの差はあるかもしれないですが大筋では同じことなのかなと思いました。
最新ツールでレガシーをぶっ飛ばせ
山本 裕介(株式会社サムライズム)
個人的に今日持って帰りたい言葉でNo.1だった「コードレビューがレガシーになってきている」が衝撃でした(言葉の細部は違うかも…)。
確かに言われてみればGithub上でレビューを行うときに不便だなと感じることがあります。
ところがこのツールはそういうものだと最初から考えてしまっていたためレガシーだという意識がなかったという事実に気づきました。
またUpSourceはかなり良さそうなツールだと思うので月曜日にでも会社で広めたいと思います。
追記:
とのことだったのでみんなUpsource使おうな!
一応動画もあった、但し英語だけど。
まあなんとなくなにやってるのか?はわかると思うので一応貼っておく。
www.youtube.com
曽根 壮大(株式会社はてな)
はてなの話しをしなかったはてな社員id:Soudai。
30分枠なのに101枚のスライドはやりすぎだと思いますが書かれている内容は非常に良かったです。
いま働いている会社で担当することになる案件が既存のDBを踏襲してコードを書き換えるというものでまさしくそーだい氏のいうところの「DBの寿命はサービスの寿命より長い」事例にあたります。
なので実務的な意味で非常に参考になりそうだなと感じて聞き入っていました。
また仮想列という機能があったことを知らず、こんな機能があるのか!と思いました。
絶版本とのことでしたがデータベースリファクタリングが良さそうなので買ってみたいと思います、でも7kはちょっと高いので再販してほしいなぁ…。
未来のWebとレガシーな技術
阿部 正幸(株式会社KDDIウェブコミュニケーションズ)
一般にWeb業界で「レガシー」という文脈が現れた場合これはネガティブな意味合いで使われることが多いです。
ところが「レガシーとは枯れた技術である」というポジティブな意味合いもあるのだという文脈で語られたのがこの講演の最大の特徴にして最大の功績だと思います。
技術的負債と向き合う
伊藤 直也(株式会社一休)
OSO2017に参加することになった最大の理由。
元々ぼくは #rebuildfm というPodcastのファンでその中でもビッグ3と伊藤直也さんのファンなのでこの講演を心待ちにしていました。
内容のいくつかは先日公開されてバズっていたCodeIQ Magazineの記事伊藤直也氏が語る、マネジメントで本当に大事なのは「問題にフォーカスする」である理由と似たような話しが多々ありましたがそれを感じさせないのはやはりこういう講演慣れをしているからなのでしょうか?
この点はid:t-wadaさんにも感じたのでなにかそういう技術的なものや経験値的なものがあるのかもしれないですね。
話している内容は当たり前に出来ていないことを当たり前にできるように少しずつ少しずつ進めていった結果が今だ!という印象が強かったです。
これは #rebuildfm を聞いているときにも感じていたことなので驚きはなかったのですが3年という短期間にそれをなしていったというのはやはり非凡な印象を持ちました。
みんなイディオムの話に夢中になってるけど問題の本質を解決するにはアーキテクチャをなんとかしないといけないといったニュアンスの話しは最近ぼくも感じることがあったのですんなりと受け入れる事ができましたね。
その際に上げられた書籍がこちら↓
こちらの日本語訳がAmazonにあったためTwitterにPostしたんですがAmazonのレビューをみるとあまり翻訳がよくないということらしい。
それをそのまま鵜呑みするわけじゃないですが原著側にレビューをみると原著自体がその辺も考慮されてるっぽい感じなので英語の勉強も兼ねて試してみようかなと思っています。
最後のまとめが「バランスだいじに!」だったのでやはりこの手の問題に関する絶対的な解決策ってないので都度バランスを調整する必要があるという当たり前といえば当たり前の結論に帰結しましたが参加者側からも「そうだよね、バランス大事!」というポジティブな反応が返ってきていたので皆さん思うところや感じるところがあったのかなと思います。
日経電子版 レガシーが教えてくれる危険なサイン
武市 大志(株式会社日本経済新聞社)
日経新聞というレガシーという意味ではこれ以上ないくらいレガシーな組織での悪戦苦闘の日々と挑戦の歴史の紹介。
話しを聞いていく内にだんだんと重くなっていくという会場内の空気もちょっと(かなり)重苦しくなった頃
「新聞社の伝統を見直した」とYahoo!さんなどに取り上げられたが「いや、そんなつもりはなかったんですけど..」という一言で綺麗さっぱり消えたので笑いは大事ですね!
この講演の資料もやはり会社としての歴史がないこともあって非常に含蓄のある話しばかりだったので資料が公開されたら会社にあげておこうと思います。
企業もインターネット中心のアーキテクチャにしよう
長谷川 秀樹(ハンズラボ株式会社)
正直この段階だとかなり満足していて講演が始まるまえは「あー最後の講演だどんあ話しするのかなー」と割りと気が抜けていたように思います、今にして思えばですが。
ところが掴みからドッカンドッカン笑いは起こるわAmazon Goの実際の(コンセプト動画でない)買い物風景が動画で紹介されるわで一気に真剣モードに切り替わりました。
最初に「キラキラ系のひとにはつまらない内容です!」と仰ったが全然そんなことなくめちゃくちゃ面白かったです。
Amazon Goの話だけでも1講演できるんじゃないか?と思える内容でしたがそこはそれ、レガシーというテーマに沿った発表をされましたがそれもまた負けず劣らず素晴らしい講演でした。
正しいことを正しく運用するためにどうするのか?という会社員の悩みに対して正しい権威の使い方を教えてくれているように感じました。
このあたりはNHNテコラスのかたや日経新聞社のかたもうまく使いこなしていたなあと感じました。
権威を上手く使えばできないことは少ない、そのような印象を受けました。
Pixivとアニメイトラボが社会人留学生制度でエンジニアが行き来してましたがこういう制度で短期的にハンズラボに移籍して働いてみたいなと思いました。
講演中に使用されていたポインタは↓
結構お高いがApple限定カラーのやつは20k近くするらしいヤバい。なお東急ハンズでは取扱がない模様、残念!
まとめ
というわけでまとめです。
今回は本当にセミナーのテーマが秀逸だと思っていてそれぞれ別々のアプローチで話しているのだけど
少しずつ交わる部分があってそれが相互補完関係のように話しが繋がっていく感じがすごく面白かったです。
このあと「日本一の懇親会会場」である座・スタジアムへ移動してそこでも大盛り上がりしつつ閉会と相成りました。
その際にぼくにとっての憧れ、naoya_itoさんと握手と写真を撮っていただきました!!!
もう思い残すことはない……Ω\ζ°)チーン
「芸能人でもないのに…」とご自身も仰ってましたがそういう見世物的なことをして良いのか?という思いとそれはそれとして憧れのエンジニアのかたと写真がとりたい!という思いがありましたが快く写真をとっていただけて本懐を遂げた思いです、いやほんと来てよかった…。
その後、宿泊施設に戻ってシャワー浴びて事前にほぼほぼ埋めておいたアンケートを出してからこれを書いてるんですが2時間くらいたってて眠いのでもう寝ます!
書き漏れや追記などは明日以降に気が向いたらします。
地方の勉強会は都会に比べてどうしても数が少ないからかその分密度というのか濃度が濃い傾向があります。
だからこそ楽しい、来年も参加したいと思えるイベントになっているのだと痛感します。
OSO2017のスタッフの皆様、ご苦労様でした!
また来年OSO2018に参加させてもらいたいと思います、次回は会社の同僚を連れてきたいと思います。
そして参加する経緯を作ってくれたすますん氏に双子の赤ちゃんが生まれたということなので感謝の気持ちも込めて、後日干し芋から何を送りつけてやろうと考えてます。
それでは皆さんお疲れさまでしたー。