USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門

感想

イシューからはじめよを読んでいたからだと思うのだがマーケティングもエンジニアリングも課題解決のために必要な根本のところは共通しているという点が面白かった。

イシューからはじめよでは問題の本質=イシューと定義されていたが本著ではビジネスドライバーと称されている。

本質的には同じことを指し示しており、解決すべき問題をとことんまで掘り下げてから考えるという「当たり前にできていない当たり前の考え方」から語られているためマーケティングに興味がなく、あまり頭がよくないぼくでも簡単に読み進められた。

その中でいくつか琴線に触れるワードがあったのであとで一部抜粋して紹介する。

この本で何が学べるのか?と聞かれたらぼくは「目的と戦略、戦術の違い」と答える。 過去のプロジェクトや会社組織で上手く回っていないケースの説明がこの3つの概念で説明できるような気がした。

エンジニアリングとマーケティングはその手法こそ異なるものの目指すべきゴールは非常に近いのかもしれないと読んでいて感じた。 全てのマーケターがそうだとは思わないけれど、今まで得体の知れない存在に対して同じチームメンバーだと思えるくらいには親近感を得るようになった気がする。

経緯

元々のきっかけは「小さなチーム、大きな仕事〔完全版〕: 37シグナルズ成功の法則」の「マーケティングは部署ではない」を読んだことが発端になる。

小さなチーム、大きな仕事〔完全版〕: 37シグナルズ成功の法則

小さなチーム、大きな仕事〔完全版〕: 37シグナルズ成功の法則

  • 作者: ジェイソン・フリード,デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン,黒沢 健二,松永 肇一,美谷 広海,祐佳 ヤング
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2012/01/11
  • メディア: 単行本
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マーケティングは会社の皆が行うものである。365日24時間いつでも。 なにかコミュニケーションの手段があるのなら、マーケティングはできる。

その中でこのような感じのことが書かれていた。 そこで今まであまり興味を抱くことがなかったマーケティングに関して「そもマーケティングとはなんぞや?」と少し気になりだした。

この頃、ちょうど大阪の会社を試用期間で辞める直前か直後であり、 「自分にとって理想の会社が関西には少ない、だったらいっそのことフリーランスや起業も視野にいれるか?」 とか考えていた時期だった。

ただぼくはあまり人付き合いが得意なタイプの人間ではないし、マネジメントやマーケティングに無頓着だったので起業にせよフリーランスにせよそこがネックだなとも考えていた。

そのような折にたまたまDHHが書いた「小さなチーム、大きな仕事」を読んで興味が湧いたのが1点。

たまたまその読了後に id:pugiemonn 氏がマーケティング関連について発言をしていたので これ幸いとオススメを聞いてみたところ紹介されたのが「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門」だったという経緯だ。

↑と読んだ本が異なるがこれを紹介されたあとで「先にUSJを劇的に変えた〜を読むほうがいいかも」という話だったので自分にとって読み進められそうな方を購入した。

琴線に触れたワード集

CEOが最初に雇うべきは人事のリーダー

エンジニアでも営業でもなく人事のリーダーを雇うべき!という主張は想像の埒外にあって意表を突かれた。

成長する会社とは、人的資源を成長させ続けることができる会社

説明を聞くと「なるほど一理ある」という気持ちになった。 成長を阻害させるようなメンバーを採用してしまう人事では確かに不信感やジョインしたそのメンバーにとっても不幸な結果(望まれない人材)になりかねないなと読んでいて思った。

ただこれは万事において当てはまるケースではないとも同時に感じた。

というのもスタートアップなどの創業期に人事のリーダーを雇うのは高コストだとかんがえられるからだ。 なのでこの事例はヘッドハンティングなどでCEOについた場合や昇進するなどしてCEOになった場合にまず最初に腹心となる人事のリーダーを据えろということなのだと理解している。

どこかのタイミングでスタートアップでもCEOの意向を最大限に汲み取って会社にとって益ある人材を見出してくれる人事のリーダーを雇う必要はあると思うが。 創業時にCEOかCTOが人事のリーダーを兼務する形が通常なのかなと思う、それが良いか悪いかはわからないが。

目的と目標の違い

本著で一番の学びがあったと思っているポイント。 わかっている人からすれば当たり前だが漠然とした理解ではなくきちんと切り分けて考えれるようになったと思う。 例文が非常にわかりやすいためすんなりと飲み込めた。

「目的はパリ占領、目標はフランス軍」

目的とは必ず達成する最上位の使命。 目標とは目的を達するために経営資源を投入する具体的なポイント

本著ではそのように紹介されている。 英語だとよりイメージしやすいかもしれない。

目的(=Objective)、目標(=Target)。 後者のほうがより具体性を持つ単語のイメージがある。

そして目的や目標が定まれば自ずと戦略と戦術の話しをすることになる。 日本語だと戦略と戦術は曖昧なところがある、本著ではそこは明確にわけなくてはいけないと書かれている。

目標:Who(ターゲットは誰か) 戦略:What(なにを売るか) 戦術:How(どうやって売るか)

「最強の軍隊はアメリカの将軍、ドイツの参謀、日本の兵卒、最弱の軍隊は中国の将軍、日本の参謀、イタリアの兵卒」という有名な海外のジョーク?がある。 これは詰まるところ戦術レベルでは優れているが戦略レベルでは最低だということだ。

これはマーケティングに限らずエンジニアリング、会社組織にも当てはまるように思う。 つまり目標の設定が曖昧なままに戦略を立てるがそもそも目的がはっきりしていないため的はずれな戦略を立ててしまい、結果戦術をまともにこなしたとしても結果に結びつかないということだ。

メンバーに問題があるわけではないのにチームや組織が空回っているように感じるときはこれらの条件を満たしているように読んでいて感じた。

どう戦うかよりもどこで戦うか

よく言われるやつ。 戦略が間違っていればどれだけ素晴らしい戦術も全く意味がない。 マネジメントもマーケティングも「どこで戦うのか」が一番重要。

Howだけを部下に任せても部下は育ちません

仕事を任せるときは目的からWhoとWhatをHowとセットで考えさせるのです。

部下が言われたことしかやらない問題はここにあるのかなと考えさせられた。 受託開発に置き換えてもいけるなと読んでいて感じた、上司がクライアント。部下が自分たち。

まとめ:

1/3くらいはイシューからはじめよに書かれていたこととかぶる面が多かったが そのあとはマーケティングに関する方向性にシフトしていったので相互に知識を補完してくれる感じで学びがあった。

なによりもマーケティングを知らないぼくのような人間でもわかりやすい。 かつUSJでの事例や具体的な事例を元に説明してくれているので最初に読むマーケティングの本としては最適ではないかなと思う。

エンジニアだとかマーケターだとかデザイナーに関わらず一読してマーケティングとはどういうことか?と軽く理解するのにちょうどいい量と質だった。

次はこの2冊を読もうと考えている。