異文化理解力 ― 相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養

異文化理解力――相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養

異文化理解力――相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養

luccafort.hatenablog.com

id:daiksy さんが以前開催した京アジャビブリオバトルのときにおすすめしていた異文化理解力をようやく読了した。

結論:

もし、あなたが少しでも「うまくチームが回っていないな」と感じるならば是非ともこの本を手にとって読むべきだし、可能ならメンバーにも読ませるべきだと思う。 もし、メンバーが読まないなら要約をしてメンバーに教えればよい。 せめて本著で紹介されている8つの軸を元に自分がどういう文化の人間であるか、どういう文化のチームであるか?は最低限見える化しておくとよい。

本著の対象者は全ての人類といっても過言ではないと思う。 それぐらい汎用的で実用性の高い話しが大盛り特盛りてんこ盛りな内容だと思う。

問題点:

さてここまで絶賛?しているがぼくは本著において実に重大なことが全編に渡って欠けていると感じている。 それはTeamGeekでいうところのHRTがメンバーに必要不可欠だということだ。

Team Geek ―Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか

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どういうことかというと本著では異文化における違いを8つの軸から解説している。 会社のメンバーに対してHRTがないとどうなるのか?

端的に言ってメンバーを信用していないので「理屈はわかるが自分たちに当てはめるのは難しい」と感じてしまう。 つまりこれら8つの軸はまずHRTという根本の関係を構築した上で更に前進するための方策なのだと思う。

故にHRTがないチームにこの手法だけを取り入れようとしてもうまくいかない可能性があるのではないかとぼくは読んでいて感じた。 本著の問題というよりはチームとして崩壊しているところに手法だけ持ってきても仕方がない、というニュアンスで捉えてもらえればいい。 まずチームとして最低限の体裁を整えたうえで8つの軸にチームやメンバー、会社がどういう文化を持つのかを見える化していくのが重要であると思う。

理想の文化:

ぼくにとって本著を読んでどこに当てはめたかといえば現職の職場であり、チームであり、会社だ。 本著の8つの軸とは…

  1. コミュニケーション(ローコンテキスト vs ハイコンテキスト)
  2. 評価(直接的なネガティブフィードバック vs 間接的なネガティブフィードバック)
  3. 説得(原理優先 vs 応用優先)
  4. リード(平等主義 vs 階層主義)
  5. 決断(合意志向 vs トップダウン式)
  6. 信頼(タスクベース vs 関係ベース)
  7. 見解の相違(対立型 vs 対立回避型)
  8. スケジューリング(直線的な時間 vs 柔軟な時間)

となっている。

ぼくの中で理想的なエンジニア文化を8つの軸から抽出すると以下のようになる。

ローコンテキストなコミュニケーションで、 直接的なネガティブフィードバックな評価をし、 応用優先(帰納的思考)で説得を行い、 平等主義なリードによって敬意を得て、 合意志向な決断を下し、 タスクベース(認知的信頼)によって信頼関係が構築され、 対立してでも見解の相違を話し、 計画に引かれたスケジュールのとおり、直線的な時間で管理されている

この考えには一部強くアメリカの西海岸あたりの思想が混じっており、その影響をブログだったり書籍から受けている点は否定しない。

だがしかし、人によってこの理想となるエンジニア文化というのは当然異なっている。 会社としてもそうだし、個人としてもそうだろう。

そうしたときにいわゆるこの文化のミスマッチが発生する。

この軸と簡単な説明を事前に渡しておけば文化によるミスマッチは減るのではないかと期待している。

まとめ:

ともあれ、まずは会社、チーム、自分が理想とする文化を見える化し、そのうえでチームとしてどの文化で行くのか?会社としてどの文化を求めていくのか?を考えていくのが正しいのかなと思っている。

多くの場合、人は納得さえすれば文化的にかけ離れていたとしてもその決まりに沿って行動するのだ。 つまり、「チームとして上手く回っていない」というとはこの文化の相違による摩擦が起こっているのではないかと考えルヨ地がある。

少なくともぼくは現職に対して2つの相反する文化を感じており、それがうまくチームが回っていない原因かなと感じている。 どちらかがどちらかの手法に合わせる必要があるのだが、放置してしまっているせいでチーム間にギスギスした澱のような沈殿物が堆積していき、最終的に爆発するのではないかな?と考えている。

ところで異文化理解力を読んでると書いたところ幾つかのコメントで「あれいいよね!」と言われたのでやはり文句なく良書といっていいのではないかと個人的には思っている。