この記事は「技術広報 Advent Calendar 2025」13日目 の記事です。
「技術広報 Advent Calendar 2025」に登録されていますが、この記事の大部分は技術広報的な側面よりも、そこから離れた現状の報告になっています。
TL;DR
- 技術広報から横断組織のプロジェクトマネージャーになって半年経過したけどどう?
- 技術広報とプロジェクトマネージャーは何が違うか
- 失敗しても、夢のカケラで別の絵を描けばいい
半年後の現在地
前回記事からだいたい半年が経過しました。毎回いってるけど本当にあっという間の出来事ですね。
技術広報からプロジェクトマネージャーに移動する前はプロダクトマネージャーとプロジェクトマネージャーの差異もわかるようなわからないような……と感じていましたがいまでは自分の言葉で説明できる程度には解像度が高くなりました。 書籍を読んでわかったつもりになっていた部分の解像度がグッと上がった形ですね。
至らないところもありつつ、及第点くらいは出せるんじゃないか?という話を先日上司として合意をもらえました。 もっとやれたんじゃないか?という点に関しては、少し事情があり公開できないのですが、現状できる範囲での最大値を出せたように思います。 変化として如実に感じていることとして、以前よりも圧倒的に英語でのやり取りが増えました。 これは社内のドキュメントやチャット、そして会議のような会話も含みます。 会社が足切りとして設定しているTOEICの点数はクリアしたものの当たり前ですが全然足りず、なんとかしないといけないなぁと感じているのが正直なところです。 ここは今後の改善点ですね。
それ以外でいうとやはり見積もりが難しいです。 自分が開発するときも難しかったですが、他のチームが順調にプロジェクトを推進しているかどうかを管理、進捗を把握するのはかなり脳内負荷が高かったです。 これは技術広報とは違った苦労だったかなと思います。
技術広報とプロジェクトマネージャーは何が違うか
本質的な点でいうとあまり変わったという気はしないです。 よりユーザーという意味での解像度は高くなったとは思います。 横断組織の認可基盤のチームにいるので、主に対象となるユーザーは
- プロダクトを使ってくれているエンドユーザー
- プロダクトを開発している社内の開発者
の2種類に絞られます。
すごく抽象化してしまうと基本的に技術広報もプロジェクトマネージャーも「価値を届ける」仕事をしていると思ってます。 プロジェクトマネージャーはそこに対して「プロジェクトを大過なく完結させること」がミッションの大部分になるので攻めか守りかでいえば守りのイメージが近いですね。 一方で技術広報は「埋もれている価値を掘り起こして、知ってもらうこと」がミッションになるので攻めのほうがイメージにあうかなと思います。
ただ根本的なところはあまり違いは変わっていないなというのが個人的な感想です。 どちらの職種も自分だけではミッションを達成することができない、周りの人の力を借りる必要があります。 彼らが推進力になるので、代わりに自分が進むべき道のりの障壁や障害を先回りして整理するという意味では大枠は技術広報もプロジェクトマネージャーも変わらないです。
どちらも「何故必要なのか」「どんな価値があるのか」「どんな未来にたどり着きたいか」を伝えるという意味では等しく伝道師的な役割は変わりません。 ただ、そのための手段というか武器が違っていて、技術広報のときはルールを制定したり、制度の不備を整理したり、そもそも社内で見過ごされている価値あるものを見つけるディスカバリーのフェイズがありました。
一方でプロジェクトマネージャーは、開発チームがうまく認可サーバーを使って公開APIをリリースできるようにするために「何をするといいか」や「全体最適としてどうなっていなければいけないか?」をイメージする必要があります。 望んで飛び込んだわけですが、やはり技術広報よりも開発に近い設計のタスクの難しさに直面しています。
技術広報の設計の対象は組織という目に見えない何かを最大限の想像力と配慮しないといけない部分を考慮して、設計する必要があります。 そのため、やってみないとわからないし、他社でうまくいったことの猿真似をしてもうまく行かないため、自社で適用したときにどういった反応が発生するかをシミュレーションする必要がありました。
その点で、プロジェクトマネージャーは実際に開発チームが困っていることをフィードバックとして平均化できるので、より困りごとが具体である点は違うなと思います。
失敗しても、夢のカケラで別の絵を描けばいい
さて、技術広報からプロジェクトマネージャーに変わってみた話はこれくらいなんですが、これを読んでいる人はおそらく「技術広報を引き受けたけど次のロールモデルが見えない」と悩まれている方か「技術広報になりたいがエンジニアのキャリアに戻ってこれるのだろうか?」と考え込まれてる方じゃないかなと思います。
ぼくから言えることがあるとしたら「知らん!!!!!」ってことです。
キャリアって当たり前ですけど、当人だけでコントロールできるものじゃないです。 技術広報になりたくても社内にそのポジションがなければ就任できないし(まずはポジションを作るところからになる)、逆にエンジニアに戻りたくてもぼくのように戻りたい先のチームが受け入れ可能かどうかって問題があります。
これは読者の方の能力の多寡は関係なく、外部変数として条件判定が存在していることを意味します。 そのため、明確なことは言えません。
とはいえ、それだとさすがに無責任なのでぼくから言えることとしては「ブランクは空くかもしれないけど、新しく人を採用するよりは価値を提供できる自信があるなら戻れるし、ないなら戻らないほうがいい」って感じです。
たまたまなのか、ぼくの周りにはかつて技術広報だったがいまはプロダクトマネージャーをされている方やデータエンジニアに戻られた方、昇進されてVPoX/CXOのようなポジションに就かれている方がいます。
技術広報とかDevRelみたいなワードは真新しい職種のラベルなのでキラキラして映るけど実際には自分たちが仕事とかやることを定義して道を作っていく"覚悟"みたいなものが必要なんじゃないかなって思います。 ちょうど今日(12月10日執筆時点)読んでいた書籍にまさしくな「新しい職種はどう生まれるか」という節がありました。

https://www.amazon.co.jp/dp/4065412390/www.amazon.co.jp
おそらく、技術広報などの職種はエンジニアの給与が急激に高まったここ10年くらいの状況を反映していると思います。 エンジニアは採用したい、でもいますぐ給与を上げることは難しい……それ以外の方法で魅力づけをしたり、組織を知ってもらう必要があるがこれまでやっていたEMやCTOの片手間ではどうにもワークしない……!みたいな課題から生まれてるんだと思います。
なので「まあやってみなはれ」って感じで挑戦してみるといいんじゃないかなって思います。 仮に失敗したとしても、その夢のカケラを紡いで別の形で実現してみるってのはできるんじゃないかと思います。
というのも、執筆している現在12月10日にぼくは40歳の誕生日を迎えました。 結婚もしてないし、プログラマーを目指した当初に夢描いていたゲームプロデューサーにもなっていないし、なんなら当時は東京に住んでいたけどいまは関西に戻ってきている。
でも、プロデューサーになる夢はプロジェクトマネージャーで一部補完されているし、有名タイトルのゲーム開発に携わりたい!って夢は日本の全人口の約1割が使ってくれる家計簿アプリの会社で働いているしで、夢のカケラが昔の夢とつながっているんじゃないかな〜って気持ちになってました。
20歳のとき、確かまだ専門学校生だったので「俺はゲーム業界に行くんだ!そして有名タイトルのプロデューサーとかディレクターになるんだ!」みたいなことを考えていた気がする。…
— luccafort (@luccafort) December 9, 2025
もちろん、その過程は思い描いていた100倍くらい泥臭いし、全然理想とは遠いんだけどまあふりかえってみたら同じではないけど似た別の形で表現できているし、寄り道をしたけどまあ思ったよりも悪くはないんじゃないかなって感じです。
そして、根本的な部分「なにかを作り続けるクリエイターでありたい」という思いは現在も消えていないので、土台の部分が変わらなければその上に乗せるモザイクの形は多少変わったとしても実はあまり大したことがないのかなって気がします。
「夢のカケラをモザイクにして〜」みたいなのはぼくのオリジナルじゃなくて王様の仕立て屋~サルト・フィニート~って漫画のオマージュです。 面白いのでぜひ。
「王様の仕立て屋〜サルト・フィニート 7巻 order38 ダンディの条件」のセリフでした。
— luccafort (@luccafort) December 9, 2025
「夢のカケラをモザイクにして〜」だったのでちょっと違った。 pic.twitter.com/j1RFHwH7WK
何が言いたいかっていうとあなたの技術広報としてのキャリアはあなたしか歩めないし、仮に失敗しても理想の状態ではないかもしれないけど近似値に寄せることはあなたの実力をいかんなく発揮すれば可能ってことです。
これは無策で飛びつけって話をしてるんじゃなくて、「本気の失敗」には価値があるからリカバリーできるって話です。 同じ道にはいかないかもしれないけど、全く意に反する道にはならないんじゃないかって思います。
alu.jpなんか説教臭くなってきたのでこのあたりで終わる。 自分の価値は自分が見つければいいんだけど、自分の価値を定義するのは他人なので、本気で失敗したことはきっと見てくれる人がいるよってことが言いたかったって感じです。
仮にそういう人がいなかったらそれはさっさと別の環境に飛び込んだほうがいいってことだから損切りとしてもそんなに悪くないと思うしね。
言い忘れたけど最後に
そうそう。言い忘れたので最後に書いておくんだけどこの記事の公開を持って、DevRel Guildを脱退しようと思う。 なので技術広報 Advent Calendarを書くのは多分今回が最後になる。
脱退する理由としては、自分が技術広報でなくなったことが大きい。 いつまでも役割が変わった人が大きい面して部室に居座ってたらそのサークルや部活は気を使うじゃん? だったらまあ元気にやってる人たちにその席を譲ったほうがいいだろうし、そのほうがいいよね。
@r_kawamataさんが募集していたのが2023年なんだねぇ、懐かしい。
【DevRel Guildを設立しました】
— かわまた/『技術広報の教科書』発売中! (@r_kawamata) September 13, 2023
DevRelや技術広報をメインロールとされている方やEMやHRと兼務している方も含め、企業対エンジニアのコミュニケーションに携わっている方々がフラットに情報交換できるコミュニティ型Slackスペースを立ち上げました!… pic.twitter.com/cHZNhE8Z3y
12月10日 19:50現在のDevRel Guildの general チャンネルには661名のメンバーが所属している。 転職前のアカウントが残っているケースもあるからユニークではないと思うけど、それでも大きなコミュニティになったよね。 それだけ各社採用戦線で苦労していた、エンジニアのエンゲージメント向上や技術ブランディングに苦労していたんだと思う。 そういう口伝だったものが相談できる場所ができたってのは素晴らしいと思うし、その職種でアドベントカレンダーをやれるまでになったのは純粋にコミュニティにかけてきた労力と熱意の賜物だと思う。 これからはちょっと違う立ち位置から見守ることになると思うし、タイミングがあえば参加したことがないDevRel Guild Meetupにも参加してみたいと思うので顔を出す予定です。 ただ、あくまでも第三者的にはなるのはぼくなりの技術広報を辞めたことに対するケジメのようなものだと思ってくれればと思う。
問題はアルマ王国(ただの飲み会の日程調整チャンネル)がDevRel Guild上にあるからこれがなくなるのだけはちょっと困るかなぁ……ってところかな。 まあXのグループチャットでもLINEでもなんでも代替は可能なんだけど、その辺りはまた考えようと思う。 ともあれ、2025年中を目処にSlack Workspaceからは抜けようと思うので、もし何か相談したいとかちょっと雑談したいよ〜ってことならオフラインで捕まえてもらうか、他のSNS経由で連絡ください。










