
えーこの記事はGo Conference 2026が終わったあとホテルに着いてから書き始め、翌日の帰路の新幹線の中で書いています。
感情とか感想とか思っていることができるだけ新鮮なうちに書き連ねているので読みにくい点もあるかと思いますがご容赦ください。
なお、その後も何度か加筆や調整を重ねていますが、大枠はこのときに書いたものです。
gocon.jp
まずはじめに
sivchari さん、これまでメインオーガナイザー、お疲れ様でした。
思えばぼくが tenntenn さんから次のメインオーガナイザーに打診してもらった際、諸事情から辞退をさせてもらい、
代わりに sivchari さんを推挙させてもらったのがずいぶんと前のことのように思います。1
これからもGoコミュニティの仲間として関わることになると思いますが、ひとまずお疲れ様でしたとお伝えさせてください。
そして新しくメインオーガナイザーに就任される Suuさん、momiさん、おめでとうございます。
お二人が初めてGo Conferenceのスタッフとして関わってくれたことを今でもつい先日のように思い出されます。
そのお二人がメインオーガナイザーとなって、これからGo Conferenceを引っ張り、ときに周りに支えられながら進めてくれるだろうことを思うとほほえましい気持ちになります。
何か困ったことやこれまでの経緯で知りたいことがあれば、いつでも質問してください。
今回のGo Conferenceが大盛況で終えられたのは sivchari さん、Suuさん、momiさん、Senoueさんを含めた運営に関わったメンバー全員の功績だと思います。
素晴らしい1日をありがとう、そしてこれからもよろしくお願いします。
大前提
これはあくまでぼくの基準や感想、感覚であることを明記しておきます。
一部プロポーザルについて言及している点がありますが、全ての選考メンバーが同じであることを意味しません。
プロポーザルについての注意点
プロポーザルの採択はタイミングや相手、伝え方などさまざまな変数によって確定します。
例えば選考時に sivchari さんとはプロポーザルの採択で何度も意見が喧嘩しました。
つまり合議や協議によって採択がされたことを意味します。
プロポーザル選考時には提出された方の名前などはマスクされた状態で審査を行っています。
また、プロポーザルには優劣はないことも合わせて明記します。
そのため、「Go Conference 2026」では不採択になってしまったが、「GopherCon Japan 2027」では採択されるなどの可能性があります。
採択されなかったことがイコール採択されたプロポーザルよりも劣っているわけでないことはここに明言したいと思います。
gophercon.jp
なお、この記事で個別に触れているプロポーザルは、いずれも提出者ご本人に記事の内容を確認いただき、掲載の承諾を得たうえで紹介しています。
今回のGo Conferenceについて
正直なところ、今回ぼくはあまりセッションが聞けていません。
そのため、セッションの感想は実際に参加された他の参加者の方に譲り、
運営として関わってきたぼく自身だからこそかける内容ということでプロポーザルについて少し話そうと思います。
ぼく的TOP3プロポーザル
今回のプロポーザルも熾烈な倍率となりましたが、その中でも個人的に飛び抜けてよかったプロポーザルを3つ紹介します。
gocon.jp
おそらくぼくの中で今回のプロポーザルNo.1を決めろと言われたらこれになるのではないかと思うくらい素晴らしいプロポーザルでした。
登壇は聞けなかったのですが、これまで見た中で最も美しいストーリーのプロポーザルだと感じ、採択候補として推していました。
「FFIとは何で、どういった課題があり、どうするといいか、そして昨今はどうなっているか、何故それを話そうと思ったのか」が、過不足なく全て詰まったとても美しいストーリーラインです。
以下が実際に id:goccy54 さんが提出して採択された当時のプロポーザルです。
もし、次にプロポーザルを書くときのヒントがほしい方は、どういった点を補強するとよいかの参考にしてみるのもよいのではないでしょうか。
もちろんこれが唯一の正解ではありませんし、このスタイルに寄せることを勧めているわけでもありません。あくまで一例です。
今回、自分が選ぶなら絶対にこれを聞きに行きたいと思い推させてもらいました。
Go Conferenceに参加する人にとってインターネットが通じることは当たり前の世界だと思います。
そのような通常とは異なる環境下でどのようにサーバー運用するのか。
また通信が安定しない環境であるからこそ欠損や遅延を踏まえた設計、どのような耐障害性をもたせるのか?という知見や経験は参加する多くの方に価値があると考えました。
登壇者のSeoさんにしかこのテーマでは話せず、この機会を逃した場合、他のカンファレンスで登壇の機会があるかわからないと考え、強く推薦をさせてもらいました。
また、ぼくが今回のGo Conferenceで唯一聴講をさせてもらったセッションでもあります。
とはいえ当日はスタッフ業と並行だったため、腰を据えて聞けなかったのが心残りです。
後日、動画で改めて聞き直したいと思います。
gocon.jp
プロポーザルを見たときの感想は「きっとこれはHoshiさんのプロポーザルで、おそらくHoshiさんにしか話せないテーマだ」でした。2
誤解のないようにお伝えするとHoshiさんを知っていたから推薦したわけではありません。
今回のプロポーザルにEbitengineのテーマが少なかったこと、ゲーム開発から得られる低レイヤーの知見はWebやその他の開発業務にも活かせるとイメージできたことが推薦理由です。
選考では「独自性もあり、ストーリーも明確。その上『作ってみた』で終わらない先進性もある」と高く評価される一方で、これがGo Conferenceの参加者にどこまで届くかは読み切れない、という声もありました。
ぼく個人としては、目先の実用性だけでなく、Goという言語の可能性が広がるかどうかで考えたい。そう主張して強く推薦をさせてもらいました。
gocon.jp
採択後、どうなるか少しドキドキしていたのですが、当日はさまざまな人が言及している投稿が散見され、他の登壇者の発表でもEbitengineが話題に出ていたと聞きました。
推した側としては、ほっとしたというのが正直なところです。
届くかどうかを決めるのは、結局のところ登壇者ご自身の力なのだと改めて思いました。
TOP3プロポーザルに共通すること
この3つのプロポーザルには共通する項目があります。
それはプロポーザルから「この人だからこそ話せる」ストーリーになっていることです。
ぼくは今回のプロポーザル選考において明確に自分の中の基準を設けるようにしました。
以下が上位から順に決めていた選考基準です。
- この人だからこそ話せるプロポーザルであること
- Go Conferenceで話してほしいと思えること、あるいはGo Conferenceでなければ登壇が難しいこと
- 参加者の関心を刺激し、Next Actionを生み出すテーマになっていること
- Goコミュニティに伝えておく価値があること
あくまで基準なので、プロポーザルを選定するときの自分の中の指標ではありますが、
後述する「プロポーザル選考方法の変化」で記載している理由から強い意志でこれらの基準を持つように心がけました。
その結果が最大およそ16倍という非常に厳しい競争率になりました。
今回採択となった多くのプロポーザルは、もちろん自分自身が自信を持って推せるものばかりだと言えます。
一方で、いくつかのプロポーザルに関しては「この情報があれば文句なく採択できるのに!」や「個人としてはとても聞いてみたいけど普遍的な内容に終始してしまいそう」などの理由により評価を一段下げざるを得ないものもあり、とても頭を悩ませました。
これらのいわゆる「惜しかったプロポーザル」と「採択確定を確信できるプロポーザル」の違いが何であるかを改めて考えてみました。
それは登壇で何を話そうとしているか、そしてその登壇を聞いた人が何を持ち帰ってくれるか?をどれだけ明確にイメージすることができるかの差であるように思います。
先程紹介した3つのプロポーザルはそれを聞いた人の感想や盛り上がり、衝撃からの刺激への発展が容易にイメージすることができました。
この解像度の差が、ぼくに採択を確信させたのだと考えています。
念のため書いておくと、提出されたプロポーザルがこの2つに綺麗に分かれるわけではありません。
ぼくが読み手として良さを掴みきれなかっただけのもの、テーマは面白いのに全体構成の都合で見送らざるを得なかったものもたくさんあります。
生成AI 以前と以後でプロポーザルの在り方は変わる
これはあくまでぼくの考えであるのですが、生成AIによって知ること、学ぶことのコストは劇的に下がりました。
そのため、これからの時代にとって大事なことの1つに「誰が話しているのか」がより重要になっていくと考えています。
このあたりの話は Jxck さんのカンファレンス生態系の変化と CFP の功罪、「CFP の難しさ」をご一読してもらうのが良いかと思います。
blog.jxck.io
そこには次のような一文があります。
逆を言えば、CFP のクオリティだけ高ければ、登壇経験があろうとなかろうと通る「CFP 大喜利」の世界になっている。(ちなみに筆者は CFP 大喜利が割と得意だ。出したものはだいたい全部通っている。)
「この人たちが選んでいるので、公平です」という名目で集められた選考委員も、何を基準に選んだら良いのか毎回頭を悩ませている。
「なんの発表」かは分かっても「どんな発表」かはわからない。その状態でセッションのクオリティを担保するのは、かなり難しい。
プロポーザルでわかるのは「なんの発表」かまでです。「どんな発表」かは推測をする他なく、言葉を選ばずいうならばイベント当日になってみないとわかりません。
今年の5月に話題になった id:mizdra さんのブログ、TSKaigi 2026 の発表資料の体感半数以上が AI 生成感あるものだったを読んだときにも同様のことを思いました。
これらの事情を考慮して、選考をする必要がありました。
プロポーザルの採択・不採択と優劣は異なる
我々プロポーザル採択を行う運営メンバーも仕事終わりに疲れた身体に鞭を打って、プロポーザルのレビューをしています。
ぼくは通常、全てのプロポーザルを3回読み直すようにしています。
今回は全体で175プロポーザルあったので、およそ500回読み直した計算になります。
何故そこまでするかというと、どこまでいっても我々は人間だからです。
疲れやその日の体調、気分によって、一度目に読んだときの感想と2回目、3回目に読んだ感想が変わることがあります。
あるいは他の方のプロポーザルを読んだことで解像度が高くなり、その状態で読み比べたときに評価が変わることもあります。
他にも別の選考メンバーのコメントで「そういう見方もあるのか」と異なる視点を注入してもらうケースもあります。
だからこそ日を変えて読み直し、一度きりの印象で判断してしまわないようにしています。
それでも人の目で選んでいる以上、こちらが拾いきれなかったものがあるはずだと思っています。
もちろん、プロポーザルとして書かれている情報量に差があるのは事実です。
ですが、それは文章としての完成度、伝え方の問題であり、言い換えれば情報が足りずにこちらが良さを読み取りきれなかったという話です。
プロポーザルのテーマそのものの優劣とは異なります。
この伝え方の技術などは生成AIをレビュアーとして使うことで改善することができると考えています。
たまたまですが、id:goccy54 さんも似たようなことを書かれていましたね。
goccy54.hatenablog.com
一方で、現在のGo Conferenceでは提出いただいたプロポーザルへ個別のフィードバックをお返しする運用ができていません。
運営のリソース上どうしても難しく、不採択の理由を知りたい方にお答えできていないのは心苦しく思っています。
なにかしらいい方法があれば……と思っていますが、現状では難しい状況です。
プロポーザルの話題はとても微妙です。
どこまでいってもぼくは選考メンバーの1名でしかなく、プロポーザルを提出した方々のほうが優秀で仕様や実装に詳しいということが起こります。
明確に「選ばれた」と「選ばれなかった」に分かれたときに、感じるものは人それぞれです。中にはネガティブに感じてしまい、他者に対してその攻撃性を発揮してしまうこともあるかもしれません。
そのため、この手の話はなかなか表に出にくい傾向があります。
それでも、あえて言及しようと思ったのは以下の投稿を見たからです。
もし、プロポーザルが不採択になったことを未熟であると捉えている人がいるのならば、そうではないと伝える必要があると選考に関わったうちの一人として考えていました。
「どんな発表」かわかる人とは
「どんな発表」かわかる人とは一体誰のことを指すのでしょうか?
登壇でよく名前を見る方でしょうか?それとも有名ライブラリのメンテナーやGoのコントリビューターでしょうか?
ぼくの考えは少し違います。
それは「これまでやってきたことの集大成を発表できる人」、あるいは「魂の叫びを届けることができる人」だということです。
もちろん、そうした方々が採択される可能性は高いです。
何故なら、Goというコミュニティに対して日々コントリビューションをしていたり、プロポーザルを通す技術を習得していることが多いからです。
では過去の実績重視なのか?と言われると、少し誤解があると思っています。
今回枠数の関係で不採択となってしまいましたが、ぼくが最後まで推していたのは、登壇でよく名前を見る方でも、OSSのメンテナーでも、Goのコントリビューターでもない方のプロポーザルでした。
Aya | UPSIDER さんが提出してくださったものです。3
とあるイベントに参加したことがきっかけでTinyGoに触れ、プログラミング経験0からLEDを光らせたりタッチセンサーを反応させるまでのプロポーザルであり、プロポーザル選考の中でもかなり最終盤までどうするとよいかの意見が割れる良いプロポーザルでした。 4
そうです、ここでいう「やってきたこと」とは「手を動かし続けた」人たちのことを指します。
まさにそれをテーマにした登壇をお願いしたことがあったので、はてなの id:onishi さんのスライドを紹介します。
「手を動かした者だけが世界を変える」というタイトルそのままの、とても良い発表だったので皆さんもご一読ください。
それは華々しい活躍でなくても構わないと思います。日々コミュニティ活動をして得てきた知見やナレッジでもよいと思っています。
これらの活動をしている人たちは「きっとこういう発表をしてくれるだろう」「この発表を聞いた人たちはこんなふうに思ってくれるだろう」という期待とゴールが明確にイメージできます。
選考をしていると、ごくまれに「発表者にしか出すことができない珠玉の魂の叫び」が聞こえてくるプロポーザルに出会います。
それを書ける人こそが「どんな発表」かわかる人なのだと、ぼくは考えています。
そして、その人の発表を聞いた人たちがどう感じるかまで想像できる。これこそが最も大事なことです。
CFP大喜利について
Jxckさんがいうところの「CFP大喜利」は正直あると思っています。これに関しては査読だけでは、回避することができません。
正直なところ、ぼくはこの「CFP大喜利」を見抜ける自信はありません、昨今は生成AIの登場もありこの「CFP大喜利」の精度が上がり続けています。
AIが書いた文章を見抜けると豪語する方もいますが、星新一賞の一般部門の受賞4作品のうち3作品が創作過程でAIを用いた作品だったこともあり、ぼくは見抜くことは実質的に不可能だと考えています。
www.nikkei.com
この星新一賞では審査員の方が以下の発言をしたことでインターネットでも大変話題になりました。
また、審査員の一人が「AIの執筆した文章は、もう読みたくない」とこぼし、今後はAI小説の審査を引き受けないと決めたと伝えた。
「CFP大喜利」と生成AIが小説を書く問題は枝葉末節は異なりますが、根本的な点については似た課題があると考えています。
一方でぼく自身はこの問題を悲観していません。
それは、受賞作をAIで書かれた方はおそらく自筆で書いたとしても、かなり高品質な文章を書き上げただろうと期待できるからです。
皆さんは件の話題作である受賞作をお読みになったでしょうか?
ぼくは恥ずかしながらこのブログで星新一賞の件を引き合いに出すにあたって初めて読みました。
さて、みなさんはどれがAIが創作過程で介入した作品であるか見分けがついたでしょうか?
重ねて質問をします。みなさんは生成AIを使うことでこれらの作品を作り上げることができるでしょうか?
ぼくの答えは「否」です。生成AIは非常に便利なツールです、ともすれば万能感を誤解してしまうこともあるでしょう。
ですが、これらの作品は作り上げるだけの能力や経験がなければ、一朝一夕で真似できるものではないと思います。
であれば、この作品を書かれた人たちは、実際にこの作品を作り上げるだけの能力や経験があると仮定することはできないでしょうか?
ぼくはこれらの作品を読んで、どれも素晴らしい作品だと感じました。そこにAIが介在したかどうかは些末な問題でしかありません。 5
結局のところ、見抜けるかどうかはいざ目にしてみるまでわかりません。
前述したJxckさんの記事には次のような文章があります。
「自分も 1 個くらい大きめのカンファレンスで登壇したという実績を解除しよう」とでも思えば、CFP 大喜利を AI で通せるようになった今こそ、この問題は無視できなくなった。
そのセッションを目の当たりにした参加者の中で下がるのは、登壇者の評判以上に、カンファレンス自体の評判だ。ところが、今の CFP 運用で、これを未然に防ぐ手段はない。
そうです、結局未然に防ぐ手段はありません。
であるからこそ、これからのカンファレンスではより「どんな発表」をする人であるか?が重要になってくるのではないかと考えています。
念のため書いておくと、今年採択となったプロポーザルについて「大喜利だったのでは」と疑っているわけではまったくありません。
前述したとおり、どれも自信を持って推せるものばかりでした。ここで書いているのはカンファレンス一般の話です。
プロポーザル選考方法の変化
昨年、多くの方からプロポーザルの採択基準や採択された内容に関して、アンケートにて疑義をいただく形となりました。
これに関してはぼくを含む当時の実行委員の責任であると同時に、翌年(つまり今年)のカンファレンスで改善しなければいけない至上命題の1つだと考えていました。
一方で昨今生成AIの進化が著しく、文章としてはよく整っているものの、何を話そうとしているのかが読み取りにくいプロポーザルが増えました。
昨年もないわけではありませんでしたが、体感で今年は明らかに増えている印象でした。
誤解のないように書いておくと、生成AIを使うこと自体を問題視しているわけではありません。
むしろ前述したように、伝え方を磨く道具としては積極的に使ってもらってよいと考えています。
気になっているのは、装飾が厚くなった結果として書き手が本当に話したかったことが埋もれてしまい、こちらが読み取れなくなるケースのほうです。
また、昨年は1人3プロポーザルまで投稿を許可していました。
ですが、ぼくたちが本当に読みたかったのは「これを話したい」と自分自身が心から思える一本です。
プロポーザル数を出すことで採択される確率を上げるよりも、自信を持って推せる1つを磨き上げて出してほしい、という思いがありました。
あわせて、提出数が増えると1つのプロポーザルにかける集中力が減り、じっくり判断するだけの時間も減ってしまうという事情もあります。
そこで今回は「プロポーザルは1人につき1つまで」という制約を課しました。
これは複数の登壇テーマを持つ方にとっては登壇のためのハードルを上げてしまう一方で、選考メンバーの負荷を下げるという意味ではきちんと効果を発揮したように思います。
あわせて、選考方法をこれまでの選考1回で投票した点数の上位から選出していく形ではなく、段階を分けるようにしました。
1度目は従来通り点数を投票する方法。
2度目は1度目で投票された上位30%ほどのプロポーザルを対象に、選考メンバーが集まって議論しました。
ここで満場一致で推せるものはその場で採択を決め、意見が分かれたものは判断を後日に持ち越しました。
3度目は持ち越したプロポーザルをどうするかを決めつつ、全体のバランスや似たテーマでの登壇がないかなどの全体構成を見つめ直したうえで、どのような発表を期待しているかを選考メンバーで集中的に話し合いました。
当初は2段階で終える想定でしたが、結果的に3度の選考を行うことになりました。
もし、今回の登壇が昨年よりも面白いと感じていただけたのであれば、この採択方法が効果を発揮した可能性があります。
一方でこのやり方には問題があります。
プロポーザル選定に対して運営メンバーのコストが跳ね上がってしまうということです。
運営メンバーにも家庭や仕事があります、その中でどう折り合いをつけてバランスを取るといいのかは、もしかすると今後の課題になるかもしれません。
コミュニティとは「人」であるということ
今回、基調講演を聞くことができなかったのですが、カンファレンスも終わり、オフィシャルパーティー後に参加したスタッフだけの懇親会を終えたあとでホテルで登壇資料を読ませてもらいました。
基調講演にふさわしい登壇資料で、リアルタイムに聞けなかったことが悔やまれます。
一方で特に心に響いたのが40枚目のスライドにあった次の一文です。
振り返ると転機にはいつも 仲間 が関わっていた
こういったコミュニティ活動はともすればなかなか周りからの理解を得られにくいことがあります。
それは家族であったり、同僚や知人であったり、あるいは会社の場合もあります。
一方で、これらの活動を見てくれている人たちもいます。
例えば id:konifar さん。
konifar-zatsu.hatenadiary.jp
マネーフォワードの退職の記事を読んでいたので、どこかでお疲れ様でしたと直接伝えられるといいなと思っていて、今回話せてよかった
同じ会社だったことがあるわけでもなく、ぼくが東京に来たときにカンファレンスなどでお話する関係性でした。
まさかブログで「カンファレンスに参加する時には必ず話したい人」の1人としてリストアップしていただけていると思っていませんでした。
大変びっくりすると同時に、とても光栄な思いでした、そのようにいっていただきありがとうございます。
他にも多くの方がぼくがマネーフォワードを退職するということで声をかけてくれました。
moneyforward-dev.jp
中には「退職エントリのあとに会社ブログに技術記事を書くのはずるい(笑)」とイベント当日の10時に公開したブログを読んでくれている方もいました。
moneyforward-dev.jp
同じGo Conferenceのスタッフとして支えてくれた竹さんも家族や同僚の方に感謝されていましたね。
こういった活動は周りの理解がないと厳しく、あることが当然ではありません。
支えてくれる環境や人に対して本当に感謝したいと思っています。
ぼくはマネーフォワードという会社で技術広報という立場でさまざまなカンファレンスに参加させてもらいました。
元々主戦場だったバックエンドはもちろん、フロントエンドやモバイル、自然言語系の学会など職種や技術領域に限らず、さまざまな人と交流をさせてもらえました。
どのコミュニティやカンファレンスにもそれぞれの良さがあり、それぞれの課題があります。
しかし、カンファレンスを楽しみ、また楽しめるように協力してくれているという点で大きな差はないと考えていますし、どのカンファレンスが優れているというものでもないと思います。
カンファレンスやイベントに関わる皆さんは熱意や想いのある方ばかりで、どのような立場の人でもこれまで温かく迎えてくれました。
そして、今回Gophers Japanの理事になったことやおよそ7年働いたマネーフォワードを退職することを寿いでくれるよい関係性を構築できたのだと実感しました。
改めて、コミュニティはそこに集まる「人」で出来ているんだなと感じると同時に、このコミュニティを良くするも悪くするも集まる「人」、1人1人のふるまいにかかっているのだなと気を引き締めました。
楽観視していること
一方で楽観視をしていることもあります。
冒頭の話に戻しますが、Suuさん、momiさんは非常にこれまで活発に活動してくれました。
できないことはできないと伝えてくれましたし(これは本当にできる人が少ないのですごい!)、できるところは全力で取り組んでくれました。
また、ぼくたちがやりたいけど踏ん切りがつかない新しい施策なども積極的に提案してくれました。
そうです、今年の学生支援の制度はお二人の尽力によって達成しました。
この制度を来年以降も続けていくために、運営としては支援がどう役に立ったのかを知りたいと思っています。
ぜひブログやイベント登壇などで、感じたことや改善してほしいことを発信してもらえると嬉しいです。
イベント当日の朝だったと思うのですが、momiさんと話していたときに「初めて参加したときに女性の参加者が少なくて衝撃を受けた。だから翌年以降女性の知り合いを誘ってみたら今年はこんなに増えてくれた」と仰ってたのが印象的でした。6
ぼくは id:songmu さんの「変えることは無条件に正しい 7」に感銘を受けた人間の1人なので、築き上げてきた良い面は残しつつお二人が思う「最高のGo Conference」のために必要ならガンガン変えてほしいと思います。
そういった変化が積み重なった先に想像もできない素晴らしい機会や出会い、衝動のようなものが生まれるんじゃないかと考えています。
次の世代にバトンを継承し、変化をもたらしている。このことはコミュニティとして素晴らしいことだと感じています。
今後のカンファレンス情勢について
昨今、さまざまな理由でカンファレンスが中止になったり、変化を余儀なくされています。
blog.perlassociation.org
blog.builderscon.io
nakaterux.hatenablog.com
これはGo Conferenceも同様であり、無関係ではいられません。
幸い、Go言語に対する人気はここ数年上昇傾向です。これはGo言語を採用する企業様が増えたことが大きいと考えています。
しかし、この状況がずっと続くと楽観視することもできません。
悲観はしていませんが楽観視をするほど状況は明るくないと考えています。
なにより楽観視した結果、多くの方に迷惑がかかることを考えると慎重にならざるを得ない部分があります。
Go Conferenceでは持続可能なカンファレンスを目指しています。
これは運営スタッフが無理をしてバーンアウト現象(燃え尽き症候群)にならないこともそうですが、
大きな会場を借りて資金がショートしてしまわないようにしていることも含みます。
より大きな会場を借りるということはリスクも大きくなるということを指します。
昨今、生成AIの登場によってコミュニティやカンファレンスに大きな変化が生まれています。
今後のカンファレンスがどうなっていくかは誰にもわからない状況です。
ぼくから最後にお伝えすることがあるとすると「今あるカンファレンスが来年もあると思うな。行けるうちに参加しておけ!」です。
もちろん参加できる方ばかりではないので、その場合は地元や自身が所属する組織のイベントなど小さいところから始めてみてもいいのではないかと思います。
コミュニティの価値は「人」です。であるならばまずは身近な人たちとの「人」の輪を広げる小さな取り組みから始めてみてもいいのではないでしょうか。
京都でGo Conference miniを再び……
そこで、1つの試みとしてGo Conference miniをまた京都で開催したいと考えています。
開催時期などは現時点ではまだ未定です。
ただ、今回のGo Conferenceの盛り上がりを受けて、登壇や参加ができなかった方の補完となるようなイベントにしたいと考えています。
前回は100名規模になってしまい、大変だったので今回は50〜70名規模での開催を考えています。
kyotogo.connpass.com
現状ではまだKyoto.goのオーガナイザーの ujiさんに打診をした段階です。
ひとまず落ち着いてからいつ頃、どういう形で開催をするかを検討して皆さんに公開できるといいなと考えています。
ujiさんが東京に引っ越しされたとのことなので、会場周りなどは自分が頑張ることになりそうです。
お手伝いいただける方がいたら是非お声がけください。
ujiprog.com
さいごに
さて、長々といろいろと書いてきました。
いつも通り、クソ長文ができているのですが偽らざる本音ということでここに書き残しておきます。
最後に改めて、これまで1年間一緒に頑張ってGo Conference 2026のために奮闘してくれた運営メンバーのみんな、お疲れ様でした!
また来年のGo Conferenceでお会いしましょう!本当にありがとう!
皆さんと皆さんを支えてくれた人たちのおかげで今年も無事、Go Conferenceを開催、閉幕することができました。
スポンサーとして支えてくださった企業の皆さまへ。
カンファレンスは参加費だけで成り立つものではありません。
会場、ランチ、ドリンク、WiFi……当日「あって当たり前」に感じられたもののほとんどは、スポンサーの支援があって初めて用意できたものです。
ランチスポンサーのエムスリーさま、ミラティブさま、ドリンクスポンサーのエウレカさま、WiFiスポンサーのインターネット・ゼミさま、ツールスポンサーのLayerXさま、そしてゴールド・シルバー・ブロンズとしてご支援いただいた全ての企業さま、本当にありがとうございました。
スポンサーの一覧はGo Conference 2026の公式サイトに掲載しています。ぜひ一度ご覧いただければ嬉しいです。
Gopherスポンサーとして支援してくださった皆さまへ。
企業の予算とは違い、個人での支援は自分の財布から出すという決断です。
金額の多寡ではなく「このカンファレンスを続けてほしい」という意思表示として受け取りました。
運営としてこれほど心強い後押しはありません。本当にありがとうございます。
そして今回、ぼく自身もGopherスポンサーとしてKyoto.go名義で支援させてもらいました。
個人の名前ではなく、京都で続けてきたコミュニティの名前でGo Conferenceを支えられたことが、自分にとっては何より嬉しいことでした。
Kyoto.goに関わってくれている皆さん、ありがとうございます。
プロポーザルを提出してくれた全ての人へ。
不採択だった方は悔しいと思います。その気持ちは当然のものだと思いますし、否定するつもりもありません。
そのうえで、その悔しさが少し落ち着いたら、みなさんができることをやり続けていただければと思います。
どこかのイベントかブログで提出されたプロポーザルを発信してください、本当にどれも甲乙つけがたかったので、お蔵入りするにはもったいないと思っています。
ぜひ皆さんの発表をどこかでお聞かせください。
登壇された方はお疲れ様でした。素晴らしい登壇をありがとうございます!今年さまざまな人から素晴らしい登壇が多かったとお褒めの言葉をいただけました。これも偏に皆さんのおかげです。
最後に、Go Conference 2026に参加された方、あるいは参加したかったが出来なかった方へ。
プロポーザル同様、チケット争奪戦が熾烈な中チケットを購入し、参加された方は楽しんでいただけたでしょうか?
もし、少しでも楽しかったと感じられたら感想をブログなどで発信していただければと思います。
参加できなかった方へ。
チケットを必要十分に用意することができず、大変申し訳ありませんでした。
一方で昨今の会場費高騰やさまざまな理由から会場をこれ以上大きくすることが難しい状況でした。
ご理解とご容赦をお願いできればと思います。
またどこか別の機会に皆さんとお会いできればと思います。
それではまたどこかのカンファレンスかイベントでお会いしましょう。
ばーい!